胴長猫
2010.04.01



このネコは我が家の猫、レーズン。

イギリスで開発された
長胴猫(long body cat)です。

見てのとおり、
胴体が非常に長いのが特徴の猫です。

5、6年飼っているのですが
興味深いことに、
胴の成長が止まりません。

椎骨の化骨が終了しないということか・・・?
どんな椎骨しているんだ・・・?


脚が太い?細かいことは気にすんな!!
庭にて。
長すぎて狭い路地を曲がることができません。



一見、ダックスフンドのようですが、
あの犬種は
『脚が短くなったイヌ』です。

しかしこの猫は、
『胴が長くなったネコ』なのです。
この意味ではブタ作出の品種改良と似ています。

イノシシを改良してブタが作られる際、
椎骨(背骨)の数が増加したのは
有名な話ですが、
これはネコでこの現象が見られる
稀有な品種です。

胸椎数は通常の猫と同じですが、
腰椎の数が増加しています。



乳頭数は通常のネコで8個程度ですが、
本品種の乳頭式は1+4+1=12と、
非常に多い乳頭数です。

これに伴い、
産子数はネコとしては異常に多い10個体程度。


多い!多すぎるぞ!
このままでは世界中のネコが胴長になってしまう。

しかしご安心を。
この品種同士を交配した場合、
生まれてくる固体のおよそ半数は死産です。

胴を長くする複数のQTLのうち、
どれかが致死遺伝子であることが
原因と考えられます。



恐らく胴長ネコは、
この致死遺伝子をヘテロ接合で持っているのでしょうな。

チャボの短脚遺伝子でも同様な現象があって、
短脚同士を掛け合わせると、
卵の半数は孵りません。

短脚遺伝子がヘテロ接合なら
もう一本の染色体側の遺伝子で
何とか発生できるのですが、
ホモ接合になるとダメです。

この手の遺伝子で死ぬ個体は、
だいたい発生の同じステージで死にます。
致命的なエラーが生じる段階は
決まっているのですな。

胴長ネコだとどうなんだろう?




また、腰が長い動物の共通問題として、
腰痛があげられます。

腰痛のため、雄が上手に交尾をできないので、
この胴長猫は繁殖成功率が低く、
先の致死遺伝子の影響もあり、
一般にはあまり出回っていないようです。


そういう貴重なネコなのですが、
エイプリルフールネタのため、
実在しないのがまこと悔やまれます。





*ネコに関する記述以外は本当

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