冠島のオオミズナギドリ調査 調査編 早朝 
飛び立ち調査

2003.8.22〜2003.8.25 


朝3時
 眠い・・・。12時ごろに調査地からテント場に戻ってからそのまま眠る人、みんなとお酒を飲みながら話す人、
様々ですが、BUNは寝ます。睡眠不足だけにはどうしても勝てません。

さて、再び調査地へGOです。
イカ釣り漁船がさっきよりも増えている・・・。いい漁場なんだろうなあ。
イカ釣りの光は直接見るとまぶしいくらいで、そこら辺がうっすら明るいです。
こりゃあ宇宙からも見えるわな。おかげで星が全然見えなくて残念です。
以前来たとき、ちょうど満月でイカ釣り漁船もなかったとき、おだやかな海全体が月の色に光って
この世とは思えぬ幻想的な光景を作り出していました。
『光が気持ちいい』と感じました。

ほとんど意識がないまま岩場を歩いて調査場へ到着。
この時間の調査はさっきのような広域調査ではなく、『ある場所』に一点張りです。
そのある場所とは、オオミズナギドリの生活と密接に関係しています。

おや、オオミズナギドリがもう集まってきているようですね。
ものすごくにぎやかです。うるさいくらいです。
夏の神社とかでセミの声がジャージャーとしか聞こえない状態と似ています。
ずらずらと・・・。『わしの番はまだか?』
さて、これは何が起こっているか説明しましょう。
前述の通り彼等は地面から直接は飛び立つことができません。
岩や木に登って飛び降りる勢いを使うことで初めて飛びたてます。(海面では走るらしい。)
ここは森の中なので飛び立ってから海に出られる岩場は限られています。
彼等はどうやっているのかわかりませんが、その先に空が開けている岩を見つけているようです。
そして、その場所を目指してどんどん集まり、岩から飛び立っていきます。
いい岩には上の写真みたいに行列ができます。
『飛び立ちの岩場』です。
かなり妙な光景だ・・・。


ヨチヨチ歩いているオオミズナギドリばかり見ていると、上からオオミズが落ちてくる!
飛びそこなったやつがミサイルみたいに突っ込んでくるので危ないったらありゃしない。
登ってる・・・登ってるよお〜。
木にも嘴で器用に登るので、突然木から落ちてくることもあって怖いです。


そして・・・
離陸!!
明け方・・・と言うにはまだ暗い空へ飛び立っていきます。
さて、見とれてばかりいないでオオミズの調査をしますかな。
ここでも相変わらず標識再捕法調査です。要するに捕まえればいいんじゃ〜〜!!待て〜〜。








調査が終わるころ・・・空が明るくなるころ、島のオオミズナギドリのほとんどが海へ行ってしまいます。
そうなるとさっきまであんなにやかましかった森が完全に無音の世界になります。

・・・沈黙・・・

朝早いせいかまだセミの一匹すら鳴いていません。
今ここで活動している生き物が自分達だけのように感じられてしまいます。
この時間、調査の終わった岩場でみんなもなにをするでもなくたたずんでいます。
調査が一段落してほっとしている?疲れた?ちょっと違う不思議な感じ。
オオミズナギドリが飛んでいってしまって寂しいような安心したような・・・。
傷だらけ泥だらけになった手、土まみれの服、まわりの景色を見回しながら色々なことを思います。
ああ、ちょっと書ききれそうにないくらいいろいろだ。
ただ、確実なのは最終日の朝には寂しさが入ることです。これで終わっちゃうのか・・・と。
この静まり返った朝の空気・・・冠島で一番好きな時間、空気です。
あ〜、すがすがしい、まだ薄暗い森から海岸に帰るとすでに昇ったお日様が待っています。


冠島の朝日




また会おう、オオミズナギドリ。
また来よう、冠島。